一条工務店は、日本の住宅メーカーとして高い知名度を誇る企業です。
しかし、2011年の東日本大震災後、フジテレビによる報道で一条工務店の家とみられる全壊事例が取り上げられ、その耐震性能に疑問が投げかけられました。
本記事では、この報道の真相に迫るとともに、一条工務店の住宅に関する様々な評判や実際の性能について、詳しく検証していきます。
また私自身が実際に一条工務店の家に住んでいますので、上記のような一条工務店の評判、口コミなどを踏まえて一条工務店の家の性能について私が感じていることをお話ししたいと思います。
フジテレビが報じた一条工務店と見られる家の全壊事例の真相
報道された事例の概要
2011年3月11日に発生した東日本大震災。この未曾有の災害の後、フジテレビはとある住宅が全壊したという事例を報道しました。
この報道では、どこの住宅メーカーの家なのかは明示されていませんでしたが、ネットなどでは一条工務店の家だとザワザワとなり、結果、耐震性能を売りにしていた一条工務店にとって大きな打撃となりました。
報道では、南福島ニュータウンの一条工務店と見られる建物が全壊したと伝えられ、震災時の福島市は震度5強で、築約1年、具体的には384日の家が全壊したとのことでした。
一条工務店の家に住んでいたり、ご存じの方であれば、耐震性にも技術力があると宣伝している一条工務店の家が震度5強で全壊してしまうことってあり得るのか?と疑問に思うかもしれません。
何か理由があったのでしょうか?震災直後で混乱した情報が流れたのでしょうか?調べていくと色々と原因があったようです。
この辺りを詳しく掘り下げていきたいと思います。
地盤の問題が原因だった可能性
専門家の分析によると、問題の建物が建っていた地域は、そもそも地盤が弱い場所だったとされています。
全壊した家の情報を調べると、家を建てる前の地盤調査では問題とのことだったようですが、震災以前から震度1~3程度の地震にもかかわらず、家がが異常に揺れ、震度3では物が落ちるようになったとのことです。
そこで私自身、国土地理院のホームページで南福島ニュータウンの土地が昔、どういう用途の土地だったのか少し調べてみました。
以下の画像は南福島ニュータウンの1961~1969年(上側、白黒)と1974~1978年(下側、カラー)の航空写真になります。
上記の画像を見ると、以前は田んぼのような用途で使われていたことが伺えます。
いかがでしょう?田んぼはどうしても地盤が緩いイメージがあります。
東日本大震災のような巨大地震では、地盤の液状化現象が発生し、建物の基礎ごと沈下や傾斜が起こることがあります。
つまり、この事例は建物自体の構造的な問題というより、地盤条件と想定を超える巨大地震の組み合わせによる特殊なケースだった可能性が高いと感じました。
一条工務店の耐震性能の実態
一条工務店は、この報道以降、自社の耐震性能について積極的な情報開示を行っています。
- 耐震等級3の取得:一条工務店の多くの商品で、最高レベルの耐震等級3を取得しています。これは、国が定める耐震等級の中で最高等級であることを意味します。
- 制震装置の採用:多くの商品で制震装置を標準採用し、地震の揺れを大幅に軽減する技術を取り入れています。
- 実大耐震実験:30年以上も耐震実験の歴史があり、東京大学をはじめとする大学や研究機関と連携しているのが特徴です。
これらの事実から、一条工務店の住宅は一般的に高い耐震性能を持っていると言えるでしょう。ただし、どんな住宅メーカーでも、地盤条件や想定を超える自然災害には脆弱性があることを忘れてはいけません。
一条工務店の詳しい耐震技術については以下の公式ホームページも参考にして頂ければと思います。
我が家も一条で家を建てる時に、色々と地盤調査をしてもらい、少し地盤に心配がある場所については杭を深めに打ってもらった記憶があります。
家を一度建てたら、家を移動させることはできないので、しっかりと地盤調査はすることをオススメします。
一条工務店に関する気になる評判・口コミ
一条工務店に関しては、良い評判もあれば気になる点もあります。ここでは、よく聞かれる評判や口コミについて詳しく見ていきましょう。
「恐怖の扉」問題とその対策
一時期、一条工務店の室内ドアに関して「恐怖の扉」と呼ばれる問題が話題になりました。これは、以下のインスタ投稿がきっかけになったと言われています。
原因:
- トイレの引き戸で指を挟む危険性がある(詳細は上記インスタに記載あり)
- 引き戸のストッパーの位置
対策:
- 引き戸のストッパーの位置を工具を使って変更する
恐怖の扉は上記のように自分でドライバーを使ってストッパーの位置を変えることで解決できるので怪我をする前に対策してしまった方がよいですね。
ちなみに我が家にも引き戸は3か所ほどありますが、ストッパーがないタイプですが今まで指を挟んだことはありません。
引き戸は開き戸(扉を手前に引く、または向こう側に押して開閉)よりも以下のようなメリットがあるので、皆さん導入したいと思います。ただ導入時は指を挟まないように注意が必要ですね。
- 簡単に開け閉めできる
- 扉の前にスペースが不要
- 開口幅を変えることで入る風を調節可能
- 車いすでも出入りしやすい
10年点検時の高額メンテナンス
一条工務店では、10年目の定期点検時に高額なメンテナンス費用がかかるという声があります。
10年末点検自体は無料ですがこの点検で見つかった問題を直すのは有料で、問題によっては高額になるとの事。
ちなみに10年点検の内容は以下になります。
点検部位 | 基礎的性能 | 点検内容 |
---|---|---|
①基礎 | 上部構造の水平維持 | 構造亀裂や不当沈下等 |
②屋根 | 荷重の支持 | 構造的な損傷 |
③柱・梁・床 | 荷重・水平支持 | 部位の損傷・傾斜・たわみ |
④壁 | 荷重の支持 | 壁に傾斜・歪み等 |
⑤防虫 | 防虫処理部の防虫 | 防虫処理部の食害 |
⑥防水 | 屋根部・壁面・バルコニー等の防水 | 室内への雨水侵入 |
ここばかりはそれぞれの家の状態にもよると思いますがネットの情報を集めると5万円〜200万円ぐらいと幅が広い!
どうもこの10年点検で発覚した問題を有料で直さないと30年長期保証の延長はできないのです。
以下は、この点について一条工務店の公式ホームページに記載されている箇所です。
一条工務店では、30年の長期保証(構造躯体)を行っています。これは10年目と20年目に定期点検を行い、弊社が必要と認めたメンテナンス工事(有料)を 行っていただいた場合、構造躯体についてさらに10年間の保証をするというものです。
この長期保証の延長をする人は全体の約3割との事です。
我が家はまだ10年点検が来ていないのですが今からどんな診断結果を言われるかドキドキです。
背景:
- 高性能住宅ゆえの専門的なメンテナンス必要性
- 長期的な性能維持のための予防的措置
対策:
- 事前の費用確認:契約時に10年目点検の概算費用を確認
- 計画的な積立:住宅ローンと併せて修繕積立金を設定
- DIYオプションの検討:可能な範囲で自己メンテナンスを行う
メンテナンス費用は家の状態や要望によって大きく変わるため、一概に高額とは言えません。しかし、長期的な住宅維持費用を考慮に入れた計画が必要です。
値引き交渉ができない販売方針
公平性を保つために一律値引きはなしという方針を取っているようです。
メリット:
- 透明性の高い価格設定
- 営業担当者による恣意的な値引きがない
デメリット:
- 競合他社と比較しづらい
- 柔軟な予算調整が難しい
この方針は、顧客にとって公平であるという見方もできますが、大きな買い物だけに価格交渉の余地がないことに不満を感じる人もいます。
代わりかどうかは分かりませんが一条には紹介制度というのがあります。
一条オーナーの知人や親族からの紹介などです。
詳しくは一条工務店のホームページをご覧下さい。
標準仕様の制限と自由度
一条工務店の住宅は、標準仕様が充実している一方で、カスタマイズの自由度が低いという評判があります。
特徴:
- 高性能な設備が標準装備
- デザインや間取りのバリエーションが比較的少ない
対策:
- 標準プランの中から最適なものを選択
- 可能な範囲でのカスタマイズオプションを活用
- 内装や家具でパーソナライズを図る
標準仕様の充実は品質管理やコスト削減につながりますが、個性的な家づくりを望む人にとっては物足りなさを感じる可能性があります。
我が家はセゾンAシリーズでしたが自由度が無かったかと言われると特にそうは感じませんでした。
その他の一条工務店の評判・口コミは以下の記事にもまとめてありますので参考にして頂ければと思います。
電気代がやばい?
一条工務店の家はオール電化なのですが、電気代が気になるところ。
我が家の場合、電気代を年で平均すると2万円後半なのですが、一番やばい時で6万超えた月もありました。
この時は色んな悪条件が重なったのもありますが、電気料金の明細書を見て驚愕しました。
基本的には床暖房もあるので、夏より冬の方が電気代が高い傾向にあります。
詳しくは以下の記事にまとめましたので参考にして頂ければと思います。電気代6万超えについても詳細の情報も載せています。
一条工務店の住宅性能の真実
一条工務店の住宅は、高い性能を謳っていますが、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、その真実に迫ります。
業界トップクラスの気密性・断熱性
一条工務店の住宅は、気密性と断熱性において業界トップクラスの性能を誇っています。
特徴:
- 高性能断熱材の使用
- 気密シートによる隙間のない施工
- 熱橋(ヒートブリッジ)対策
効果:
- 優れた省エネ性能
- 室内温度の安定
- 結露やカビの抑制
実際の数値:
- C値(気密性能):平均0.59cm²/m²(一般的な住宅の約8倍)
- UA値(断熱性能):約0.25W/m²・K以下(業界最高クラス)
C値は家の延床面積に対する隙間面積の割合で値が小さいほど高気密である事を意味します。
またUA値とは家の表面のみからどれだけ熱が逃げているかを表す数値で値が小さいほど高断熱と言えます。
これらの性能は、第三者機関による測定で実証されており、一条工務店の強みの一つと言えるでしょう。
我が家も御多分に洩れず高気密・高断熱になっていて夏は涼しく、冬は暖かく感じます。
在宅も増えている今、今まで以上に家にいる時間が長くなるので家は性能とは本当に良く言ったものだと思います。
全館床暖房の特徴と効果
一条工務店の多くの商品で採用されている全館床暖房システムは、その快適性で高い評価を得ています。
特徴:
- 温水式床暖房を全室に標準装備
- 放射熱による均一な暖かさ
- ホコリを巻き上げない清潔さ
効果:
- 頭寒足熱の理想的な温度分布
- 乾燥を抑えた快適な室内環境
- ヒートショック対策
ただし、初期費用と運転コストが比較的高いという点は考慮が必要です。
床暖房は付けて良かったと思っていますし、オススメですが電気代がどれぐらいかかるかは考慮しておいた方が良いです。
以下は床暖房を使う時期の我が家の電気代の実態です。
参考にして頂ければと思います。
自社開発・製造によるコストパフォーマンス
一条工務店は、主要な部材や設備を自社で開発・製造しています。これにより、高品質な部材を比較的リーズナブルな価格で提供しています。
メリット:
- 品質管理の徹底
- コストの最適化
- 独自技術の開発と導入
具体例:
- 樹脂サッシ:高い断熱性能と耐久性を持つオリジナルサッシ
- ハイドロテクトタイル:セルフクリーニング機能を備えた外壁
- 全館床暖房システム:効率的な温水循環システム
自社開発・製造は、一条工務店の住宅の性能とコストパフォーマンスを支える重要な要素となっています。
一条工務店で家を建てる際の注意点
一条工務店で家を建てる際には、以下の点に特に注意を払うことをおすすめします。
見積書・仕様書の入念な確認の重要性
見積書と仕様書は、契約の要となる重要な書類です。一条工務店は標準仕様が充実していますが、それゆえに細かい部分を見落としがちです。
確認ポイント:
- 標準仕様と有料オプションの区別
- 具体的な材料や設備のグレード
- 工事範囲(外構工事など)の明確化
特に注意が必要な項目:
- 地盤改良工事の有無と範囲
- 太陽光発電システムの詳細(容量、パネルの種類)
- 照明器具やカーテンなどの付帯設備の有無
見積書と仕様書の内容に不明点がある場合は、必ず営業担当者に確認し、書面での回答を求めましょう。
結構骨の折れる作業ですが、住み続けながらずーっと後悔するならここで歯を食いしばるしかないですよね。
地盤調査と適切な基礎工事の確認
前述のフジテレビ報道の事例からも分かるように、地盤の状況は住宅の安全性に大きく影響します。
確認すべき点:
- 地盤調査の方法と結果
- 必要に応じた地盤改良工事の内容
- 採用される基礎工法の詳細
一条工務店では、地盤調査の結果に基づいて適切な基礎工法を提案しますが、その内容を理解し、必要に応じて第三者の意見を聞くことも検討しましょう。
アフターサービス体制の事前確認
長く快適に住み続けるためには、アフターサービスの質が重要です。
確認ポイント:
- 定期点検の頻度と内容
- 緊急時の対応体制
- 補修・メンテナンス時の費用負担
一条工務店のアフターサービスは地域によって対応に差があるという声もあるため、実際にその地域で家を建てた人の体験談を聞くことをおすすめします。
個人的には一条のアフターサービスにも大満足です。
営業の方は質問に迅速に丁寧に答えてくれますし(基本メールでやり取りしてます)、消耗品はアプリで簡単に注文できます。
一条工務店の家の魅力と実際の住み心地
既に所々で我が家の住み心地を述べてきましたが最後にまとめて、実際に一条工務店の家に住んでいる我が家の魅力と住み心地について見ていきましょう。
オーナーの声:快適性と省エネ性能
私が一条工務店の家に住んでいて1番満足しているのは快適性です。理由は色々ありますが列挙すると以下の感じです。
快適性に関する声:
- 冬でも家中が均一に暖かく、ヒートショックの心配がない
- 夏はエアコンで涼しく、夏場外出先から帰ってくると生き返った気持ちになる
- 気密性が高いので、外の騒音がほとんど気にならない
- 勾配天井で開放感があり、圧迫感がない
省エネ性能に関する声:
- 思った以上に電気代は安くならない
- 夏場より冬場の方が電気代が高い
- 太陽光発電の性能が良い、10kw以上の搭載がオススメ
これらの声から、一条工務店の家は高い快適性と省エネ性能を実現している一方で、その特性を理解した上で適切に住まうことが重要だと言えるでしょう。
建築実績No.1の理由を探る
一条工務店は、長年にわたり注文住宅の建築実績No.1を誇っています。その理由を探ってみましょう。
- 安定した品質
- 自社工場での部材製造により、安定した品質を維持
- 熟練した職人による施工
- コストパフォーマンス
- 高性能な設備や仕様を標準採用しながら、比較的リーズナブルな価格設定
- 自社製造による中間マージンの削減
- 明確な商品ラインナップ
- ニーズに合わせた複数の商品シリーズ
- 分かりやすい価格体系
- 全国展開によるブランド認知度
- 全国各地にモデルハウスを展開
- テレビCMなどによる知名度の向上
- 口コミによる評判
- 住み心地の良さや省エネ性能に関する良好な口コミ
- 建てた人からの紹介による新規顧客の獲得
これらの要因が相まって、多くの人々に選ばれ続けている結果が、建築実績No.1という評価につながっていると考えられます。
最近はハグミーといって1500万円で建てられる家として人気ですよね。
ハグミーは規格住宅ではおるものの、一条が得意とする標準化に輪をかけてバリエーション豊富でその数なんと約100通りの中から好きなものを選ぶことができます。2階建てから平屋まで、30坪程度。間取りは3LDKと4LDKから選べるます。
ハグミーの評判の詳細は以下の記事を参考にしてみて下さい。
長期保証制度の詳細と活用法
一条工務店は、長期にわたる保証制度を設けています。この制度の詳細と、効果的な活用法を見ていきましょう。
保証制度の概要:
- 構造躯体:30年保証
- 防水:15年保証
- 設備機器:5年保証(メーカー保証含む)
特徴:
- 定期的な点検と連動
- 年1回の無料点検(10年間)
- 10年目の有償精密点検
- 保証期間内の補修・交換
- 保証対象部位の不具合は無償で補修・交換
- 長期メンテナンスプログラム
- 30年間の計画的なメンテナンス提案
活用のポイント:
- 定期点検の積極的な活用
- 点検時に気になる箇所を細かくチェックしてもらう
- 小さな不具合も早期発見・早期対応
- 10年目点検の重要性
- 大規模な点検と補修の機会
- 将来的なメンテナンス計画の見直し
- 日常的なケアの継続
- 定期的な清掃や換気など、日常的なメンテナンスの継続
- 異常を感じたら早めに相談
- 記録の保管
- 点検記録や修繕履歴の保管
- 将来的な売却時の資料としても活用可能
この長期保証制度を効果的に活用することで、家の価値を長く保ち、快適に暮らし続けることができます。ただし、保証内容や条件は契約時によく確認し、不明点があれば必ず質問することが大切です。
フジテレビにおける一条工務店とみられる欠陥報道まとめ
最後に本記事の内容をまとめておきますね。
- フジテレビが報じた一条工務店と見られる家の全壊事例の真相は、地盤の問題が原因だった可能性大
- 家を建てる前には必ず地盤調査を行い、また国土地理院のホームページで昔の土地の用途を確認しましょう
- その他の一条工務店の気になる評判・口コミに、「「恐怖の扉、10年点検時の高額メンテナンス、値引き交渉ができない販売方針、標準仕様の制限と自由度、電気代」などがある
- 色々と言われているが一条工務店の性能は業界トップクラス。筆者も実感しているので一条工務店で家を建てるのはオススメ
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