一条工務店で太陽光発電を導入してから約10年。固定価格買取制度(FIT)の買取期間満了「卒FIT」を迎えると、売電価格が大幅に下がり今後どうすればよいのか悩まれる方も多いでしょう。本記事では、「一条工務店 太陽光 10年後」のキーワードで情報を探すそんな方に向けて、卒FIT後の売電先や価格、自家消費への切り替えメリット、設備のメンテナンス、税金手続きまで徹底解説します。卒FIT後も太陽光発電を最大限に活かし、家計にプラスとなる方法を一緒に見ていきましょう。
一条の太陽光10年後の卒FIT後の売電価格・売電先

卒FIT後、まず気になるのは「売電価格がいくらになるのか」と「どこに売電すれば良いのか」という点でしょう。FIT期間中は高額で固定された価格で買い取ってもらえましたが、期間終了後は市場価格ベースの水準に大きく低下します。以下では、一条工務店オーナー向けの売電先である「一条でんき」の買取価格やサービス、その他の電力会社・新電力の買取プラン、そして売電を継続した場合の収益見込みや価格下落の影響と対策について解説します。
一条工務店が提供する「一条でんき」の買取価格やサービス内容
一条工務店では、卒FITを迎えた自社オーナー向けに「一条でんき」という電力買取サービスを提供しています。このサービスに申し込むと、卒FIT後の余剰電力を一条工務店が買い取ってくれます。現時点での一条でんきの買取単価は1kWhあたり9円(税込)となっており、2026年3月末までこの価格が適用される予定です。以前は「スタンダード買取プラン」として11円/kWhでの買い取りも行われていましたが、現在その新規申込は停止され、現行プランは9円/kWhに統一されています。
一条でんきは全国の一条工務店オーナーが対象で、申し込み手数料や諸費用は無料です。卒FITの案内は該当オーナーにダイレクトメール等で通知されるため、案内を受け取った方は申込手続きを行うことで、売電先を地域電力会社から一条でんきに変更できます。買取開始時期は2019年11月1日以降順次となっており、毎年価格の見直しが行われる可能性があります。
一条でんきのメリット: 地域の大手電力会社による卒FIT買取価格(7~9円/kWh程度)と比較すると、一条でんきの9円は標準的かやや高めの水準であり、一条オーナーであれば比較的安心して売電先として選べる点がメリットです。また、一条工務店との直接契約になるため、何かトラブルがあった場合もハウスメーカー経由で対応しやすい安心感があります。
注意点: 一条でんきは一条工務店で建築したオーナー限定サービスなので、他社ユーザーは利用できません。また買取価格9円は2026年4月以降見直される予定であり、市場環境により変更の可能性があります。契約中は定期的に一条工務店から価格改定情報などをチェックしましょう。
その他の電力会社や新電力の買取価格・プラン比較
一条でんき以外にも、卒FIT後の余剰電力を買い取ってくれる新電力会社や他社サービスが多数存在します。大手電力会社では7~9円/kWh前後が目安ですが、新電力やハウスメーカー系のプランでは9~11円/kWh程度が一般的な相場です(一部条件付きで15~22円といった高額買取もあり)。ここでは、特に注目のLooopでんき・idemitsuでんき・ソフトバンクでんきのプランを中心に比較します。
- Looopでんき: 新電力の中でもユニークな「再エネお預かりサービス」というプランを提供していました。例えばライトプランでは月100kWhまでの余剰電力を“預かり”扱い(実質的に自宅の電力と相殺)とし、101kWh以上は7円/kWhで買い取る仕組みです。スタンダードプランでは月300kWhまで預かり、それ以上を7円で買い取る設定もあり、自家消費を優先しつつ超過分を売電できる工夫がされています。Looopでんきは基本料金0円の電気契約など独自色が強く、太陽光発電と相性の良いプランとして人気でした。ただし2025年時点では新規受付停止のプランもあるため、最新情報を確認しましょう。
- idemitsuでんき(出光興産のでんきサービス): 卒FIT向けに「太陽光買取プラン」を提供しています。標準の買取単価は地域によりますが約8~9.5円/kWh程度で、さらに自宅の電気契約もidemitsuでんきに切り替えると+2円上乗せされ最大10.5~11.5円/kWhと高めの単価が適用されるプランが用意されています。例えば関東エリアではスタンダード買取9.5円/kWh、電気セットプランで11.5円/kWhといった具合です。地域や時期によって単価は変動し、2025年の一部エリアではスタンダード8.5円・セット契約10.5円のように若干低下した例もあります。idemitsuでんきは出光のグループ企業という安心感もあり、他社電気もまとめて乗り換える意欲がある方には魅力的でしょう。
- ソフトバンクでんき(SBパワー): ソフトバンクグループは卒FIT前後の余剰電力買い取りに早くから参入し、「1kWhあたり1円プレミアム上乗せ」するサービスで話題になりました。例えばFIT期間中に38円だった売電価格を39円に上げて買い取るといった内容で、2014年以前に設置した設備(固定買取38円/kWh)を対象に、東京電力エリア限定で1万件の契約募集が行われています。このSBパワーのサービスはソフトバンクの携帯・ネット利用者以外でも契約可能で、切替費用も無料でした。ただしこちらは期間限定・条件限定のキャンペーン色が強く、2022年時点で新規受付終了が公式に案内されています。現在ソフトバンクでんきとしては通常の電力小売プランを提供しており、卒FIT後の売電専用プランは積極的には展開していないようです。それでも「ソフトバンクでんき」として電気契約をまとめれば、セット割引など他のメリットも期待できるため、ソフトバンクユーザーの方は検討の価値があります。
以上のように、卒FIT後に選べる売電先は多岐にわたります。それぞれ買取価格だけでなく契約条件にも注意が必要です。例えば「◯◯工務店で建てた人限定」「自社の電気料金プラン契約者限定」「初年度のみ特別単価」など、条件付きで高単価を実現しているケースも少なくありません。売電先を選ぶ際は、単価と条件を総合的に比較し、自分に最適なプランを選びましょう。
売電を継続した場合の収益性の見込み
卒FIT後も余剰電力を売電し続けた場合、果たしてどの程度の収入が見込めるのでしょうか?結論から言えば、収入額はFIT期間中と比べ大幅に減少しますが、それでも設備の運転を継続するメリットはあります。
例として、4kWの太陽光パネルを設置し月平均300kWhを売電していたケースを考えてみます。FIT期間中は例えば1kWhあたり30~40円の高単価だったため、年間約10万~14万円の売電収入が得られていた計算です。これが卒FIT後には単価7~10円前後に落ちるため、年間売電収入は2.5万~3.6万円程度に留まります。月額にすると2,000~3,000円台の収入で、「思ったより少ない」と感じる方もいるでしょう。
【住宅用太陽光FIT売電単価(10kW未満)の推移のグラフ】
しかし、この年数万円の収入も決して無視できるものではありません。設備導入時にローンを組んでいる場合、完済後であれば純粋なプラス収入になりますし、未回収分が残っていても細く長く補填してくれます。また、現在は電力価格が高騰しており、売電せず余剰を捨ててしまうのは機会損失です。パネルが健全に稼働している限り、低単価でも売電収入を得続けることには意味があります。
さらに、将来的な電力自由化の進展や、新たな高価買取サービスの登場で単価が上昇する可能性もゼロではありません。実際、2023年には一部の事業者が期間限定で15円以上のプレミアム買取を提示していた例があります(多くは条件付き)。現在の売電単価自体は変動がなく横ばいですが、長期的にはエネルギー情勢に応じて変化する可能性もあるでしょう。
収益性のポイント: 卒FIT後の売電収入は劇的に減るものの、「ゼロではない」ため設備寿命いっぱいまで売電を続ければ総発電量に応じた利益は蓄積します。仮に今後10年間を平均9円/kWh程度で売電できたとすると、上述の4kW・年間発電約4,000kWhのケースでは10年間で約28万円~40万円の収入となります(天候や性能劣化を考慮せず単純計算)。初期費用の回収が終わっていれば、この額は丸ごとプラスです。一方、導入費用のローン返済が残っている場合は返済補助として役立ちます。卒FIT後も売電を継続するかは各家庭の状況次第ですが、「塵も積もれば山となる」であり、パネルが発電する限り無駄にしない姿勢も大切です。
売電価格の下落による経済的影響と対策
とはいえ、売電単価の大幅下落が家計に与える影響は小さくありません。FIT期間終了により売電収入が従来の1/4~1/5程度に落ち込むケースも多く、毎月数万円の副収入があったご家庭では生活費の見直しが必要になるかもしれません。では、どのような対策でこの影響を緩和できるでしょうか?
一つは前述のように、地域の大手電力会社や新電力会社、もしくは一条でんきに売電する方法です。
もう一つは自家消費へのシフトです。売電単価が下がった今、「売るより使う」方が価値が高い状況になっています。後述しますが、太陽光の余剰電力を自宅で消費すれば、1kWhあたり30~40円前後の電気料金節約効果が得られます。これは売電価格の3~5倍以上の価値です。したがって、売電収入の減少分を補う対策として自家消費量を増やすことが非常に有効です。具体的な方法については次章で詳しく解説しますが、エコキュートやEV充電など昼間の電力使用を増やす工夫で「節約=実質収入アップ」に繋げられます。売電価格下落を「自宅で安い電気が使えるチャンス」と捉え、発想を転換して自家消費重視に切り替えるのが賢明でしょう。
さらに踏み込んだ対策として、家庭用蓄電池やV2Hシステムの導入があります。蓄電池があれば昼間の余剰電力を夜間に回せるため、売電せずとも電気代削減で間接的に利益を得ることが可能です。特にオール電化住宅では深夜電力の割安さよりも昼間太陽光の実質価値の方が高くなりつつあるため、蓄電池導入で電力自給率を高めることは売電減収への抜本対策となります。もっとも、蓄電池は高額で費用対効果の検討が必要です。次章で蓄電池のメリット・デメリットに触れますので、自宅のエネルギー収支と合わせて検討しましょう。
以上のように、売電価格下落による収入減には「高いところに売る」か「自分で使う」かの二軸で対策できます。特に自家消費を増やすことは長期的に見て最も確実な経済メリットを生みます。卒FITを機に生活スタイルや設備を見直し、太陽光発電との新しい付き合い方を模索してみてください(次章では自家消費の具体的なメリットと方法を詳しく説明します)。
一条の太陽光10年後から自家消費するメリット・方法(経済性・節電)

卒FIT後の太陽光発電は、「売るより自分で使った方が得」とよく言われます。ここでは太陽光発電を自家消費に回すメリットと、具体的な自家消費の方法・工夫について解説します。売電単価が下がった今、自家消費を最大化することが家計の電気代節約に直結します。太陽光10年目以降の新たな活用法として、ぜひ押さえておきましょう。
卒FIT後、売電よりも自家消費に切り替えることのメリット(電気代削減効果)
卒FIT後の最大のメリットは、太陽光で発電した電気を自宅で消費することで電力購入費を削減できることです。売電収入が低くなっても、電気代の節約効果という形で十分な経済メリットが得られます。
例えば、ご家庭で1kWhあたりの電気料金が30円だとすると、太陽光の余剰電力1kWhを自家消費することで30円分の電気代支出を回避できます。一方、同じ1kWhを売電した場合の収入は7~10円程度に過ぎません。現在の電気料金単価(約30~35円/kWh)と卒FIT後の売電単価(7~10円/kWh)の差を考えると、「自家消費した方が3~5倍以上お得」という状況です。
実際、太陽光発電の経済メリットは「売電収入」と「電気代削減」の二本柱で成り立っています。FIT期間中は高額売電に目が行きがちでしたが、卒FIT後は後者の電気代削減効果が主役になります。例えば年間4,000kWh発電し、自家消費率30%(1,200kWh自家使用・2,800kWh売電)だった場合、自家消費した1,200kWh分の電気代節約額は約42,000円(@35円換算)にもなります。一方で売電収入は先述の通り年2~3万円台です。つまり、自家消費の方が売電収入より大きな経済メリットを生むケースも多いのです。
卒FIT後に売電より自家消費を優先すべき理由はこのような単価の逆転現象にあります。「安く売るくらいなら高い買電を減らそう」という極めてシンプルな理屈です。現状では1kWhあたり35円前後の家庭用電気料金も珍しくなく、今後電気代がさらに上がれば自家消費の価値はますます高まります。
まとめると: 卒FIT後は太陽光の電力をできるだけ自宅で使い、電力会社から買う量を減らすことで、売電収入減少を補って有り余るほどの光熱費削減が可能になります。次項から、自家消費率を上げる具体的な工夫について見ていきましょう。
自家消費を最大化するための工夫(エコキュートの昼間沸き上げ、EVへの充電など)
太陽光発電の自家消費率を高めるには、「昼間の発電している時間帯に電気をたくさん使う」ことがポイントです。以下に、卒FIT後に特に有効な具体策を挙げます。
- エコキュート(電気温水器)の昼間運転: オール電化住宅では深夜電力を利用して給湯器(エコキュート)でお湯を沸かす設定が一般的でした。しかし卒FIT後は、昼間の太陽光余剰電力で湧き上げするのがお得です。エコキュートのタイマーを昼間に設定し直すことで、売電せずそのエネルギーでお湯を沸かせます。昼間は外気温も高くヒートポンプ効率が良いため消費電力も少なく、夜間保温時間も短縮できるため一石二鳥です。以前の機種で昼間モードが無い場合も、業者に設定変更を依頼したり買い替え検討する価値があります。「おひさまエコキュート」など太陽光連携運転を推奨する情報もあり、まさに卒FIT後には最適な自家消費手段です。ただし発電は天気に左右されるので発電がない場合で、タイマーを昼間のままにしておくと昼間の高い電気代でお湯を沸かすことになるので注意が必要ですね。
ちなみに我が家も電気代が月に6万になったことがあって(以下の記事)、その原因を調べていくうちに夜間のエコキュートでの電力消費が多いことが分かったので、やはりエコキュートの電力消費を太陽光発電で自家消費できれば嬉しいですよね。

- 電気自動車(EV)への昼間充電: EVまたはPHEV(プラグインハイブリッド車)をお持ちなら、日中の太陽光発電で車に充電するのも強力な自家消費策です。EVは大容量バッテリーを備えており、一種の「移動式蓄電池」として余剰電力を効率的に貯め込めます。昼間に充電した電気で走行すれば充電代の節約にもなり、ダブルで経済効果があります。
- タイマー家電・スケジュール運転の活用: エコキュートやEV以外にも、昼間に回せる電気使用は積極的にそうしましょう。たとえば洗濯機・食洗機・掃除ロボットなどタイマー予約できる家電は日中に稼働させます。エアコンも在宅中であれば発電時間帯に集中的に稼働し、夕方以降は緩めるなど調整可能です。最近のHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)搭載住宅なら、天気予報と連動して太陽光発電量を見越したスケジュール運転を組む機能もあります。人為的な操作が難しい場合は、HEMSやスマート家電を駆使して自動で昼間消費を増やす工夫をするとよいでしょう。
- 「見える化」で意識改革: 電力モニターやHEMS画面等で今どれくらい余剰が出ているかをリアルタイムで把握すると、家族全員の意識が変わります。太陽光発電量が大きい正午前後を狙ってアイロン掛けや炊飯をする、逆に発電が少ない雨天日は節電を心がけるなど、生活行動を発電に合わせるのも効果的です。卒FIT後は「昼に使わなきゃ損!」というマインドを持つことで、楽しみながら自家消費率を上げていけるでしょう。
こうした工夫を積み重ね、できるだけ多くの太陽光電力を自家で消費することが電気代削減につながります。結果として、卒FIT後でも太陽光発電設備が生み出す経済メリットを最大限享受できるのです。
蓄電池を導入する?
太陽光発電の自家消費をさらに飛躍的に高める手段として家庭用蓄電池の導入があります。昼間の余剰電力を蓄えて夜間や天候不良時に使えるようになるため、理論上は「太陽光発電を100%自家消費」することも可能になります。ここでは蓄電池導入の費用対効果やメリット・デメリット、そして一条工務店における蓄電池事情について解説します。
一条工務店の蓄電池概要: 一条工務店では「電力大革命」パッケージの一環として自社オリジナル蓄電池を提供しています。製造元はダイヤゼブラ電機(旧・田淵電機)で、型式「EIBS7(アイビス7)」と呼ばれるハイブリッド型蓄電池です。蓄電容量は7.04kWhで、出力は最大5.5kVAと家庭内の主要機器(200V機器含む)もまかなえる仕様です。
既に電力大革命で一条の蓄電池がある家庭はそれを活用できますが、蓄電池がない家庭は後付けするひつようがでてきます。ただ一条の太陽光システムに蓄電池を後付けできるかというと技術的にはかなり難しいようです。だいぶハードルも下がりつつあるようですが、以前私が調べた情報を以下の記事にまとめておきましたので参考にして頂ければと思います。もし最新情報がありましたら逆に提供いただけると助かります。

蓄電池を上手く使えば昼間の余剰を蓄えて夜間に回せて、買電ゼロに近づけることも夢ではないですし、災害時の停電でも活躍できます。一条の蓄電池を1つもっている家庭は2台目に増設も良いかもしれません。

V2H(Vehicle to Home)システムの導入について
最後に、自家消費を極める取り組みとしてV2H(Vehicle to Home)システムについて触れておきます。V2Hとは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)のバッテリーに蓄えた電力を家庭に供給する仕組みのことです。蓄電池の代わりに車をエネルギー貯蔵庫として活用できるため、EVをお持ちの方には非常に有効なシステムです。
ただし一条のV2Hは通常、太陽光から車には充電できるのですが、車から家への送電は停電時しかできないという注意点があります。これを考えるとV2Hというよりかは、前述したとおり発電した電力を車に充電するのが自家消費としては有効ですね。一条のV2Hについては以下の記事にまとめてあります。

一条の太陽光10年後のメンテナンス・トラブル
太陽光発電システムも設置から10年経過すると、各種機器の点検やメンテナンスが必要になってきます。ここでは卒FIT後(10年経過後)の太陽光設備のメンテナンス費用や、万一の故障時の修理費用・問い合わせ先、一条工務店のアフターサポート体制、そして経年によるパネルの劣化状況などについて確認します。適切なメンテナンス知識を持っておくことで、不意のトラブルにも冷静に対処できるでしょう。
10年経過後の太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの設備の点検・メンテナンス費用
一般的に、住宅用太陽光発電システムは定期点検を1~2年おき、重要機器の交換を10~15年ごとに行うことが望ましいとされています。特に10年目以降は主要機器の寿命が近づくタイミングですので、点検強化が必要です。
- 太陽光パネル: パネル自体には可動部がなく、基本的にはメンテナンスフリーですが、汚れや配線接続部の劣化などは点検時にチェックします。パネル清掃はほとんどの場合雨で洗われるため不要ですが、鳥のフンや樹液等の付着がひどい場合は専門業者に依頼することもあります。費用は屋根に上がる作業のため数万円ほどでしょう。パネルの固定金具の緩みやサビなども10年点検で確認されます。一条工務店では10年目点検で屋根裏から漏水や金具の状態チェックを行っており、不具合があれば対応してくれます。

- パワーコンディショナー(PCS・パワコン): 太陽光発電の心臓部であるインバーター装置です。電子部品からなるため耐用年数はおおむね10年程度とされています。一条工務店でも20年運用を見据えて「パワコンは15年程度で交換を」と案内することがあります。パワコン交換費用は機種によりますが1台あたり約10~20万円が相場です。一条のシステムはハイブリッドPCS(太陽光と蓄電池兼用)になっており、複数台設置の場合もあります。保証期間内(一般に10年保証)に不調が出れば無償交換ですが、期間外なら実費となります。10年目点検でパワコン自己診断機能のエラー履歴などを確認し、問題なければ継続使用、不具合兆候あれば早めの交換を検討しましょう。ちなみに我が家では7年目で1つのパワコンが故障して無償交換してもらいました。その時の状況を以下の記事にまとめておきました。

- 蓄電池: 蓄電池を導入している場合、こちらも10年がひとつの節目です。先述の通り一条の蓄電池は15年保証・長寿命仕様ですが、それでも10年時点で容量低下がないか点検することが重要です。万一保証基準を下回る容量劣化があれば無償交換対象になります。蓄電池自体の交換費用は非公開ですが、新品相当額(50~60万円以上)の負担が保証でカバーされるので、保証期間内の故障発見は大きいです。15年以降は有償交換になるため、蓄電池に関しては保証満了前に総点検を受けておくことをおすすめします。
- その他機器(分電盤・売電メーター・配線等): 分電盤や双方向電力メーター、配線・接続箱なども長期間の使用で劣化します。分電盤や計量メーターの交換費用は数万円程度、配線補修は1箇所数千円~1万円程度です。これらは20年目安で40~50万円のメンテ費用の中に含まれる項目で、10年目で一斉に替える必要は通常ありません。ただし雷サージ対策器や遮断器などの部品交換は点検時に実施されることがあります(数千円レベル)。ロスガード(換気システム)など他設備との連携部品も含め、10年点検で異常がないか確認してもらいましょう。
故障やトラブルが発生した場合の修理費用、対応窓口
万が一、太陽光発電システムに故障や不具合が発生した場合、まずは一条工務店のアフターサービス窓口に連絡するのが基本です。一条工務店は引き渡し後も定期点検やアフターサポートを提供しており、太陽光設備もその範囲に含まれます。
連絡窓口: 一条工務店のお客様サポートに電話または担当営業経由で連絡しましょう。太陽光設備の不具合は、施工した一条工務店がまず状況を確認し、必要に応じて機器メーカーや協力業者と連携して修理対応を行います。蓄電池の場合は製造元のダイヤゼブラ電機の技術スタッフが対応にあたることもありますが、依頼窓口としては一条工務店が一括してくれます。
修理費用の目安: 故障箇所によって異なりますが、いくつか例を挙げます。
- パワコン故障交換:保障期間内(通常10年)は無償。それ以降は新品代+工賃で10~20万円程度。
- 蓄電池故障交換:15年保証内なら無償。それ以降は容量や状況次第ですが数十万円規模。ただ、15年超での有償交換は実際には買い替え検討となるかもしれません。
- パネル故障交換:メーカー出荷不良などであれば出力保証により無償交換されます(多くのメーカーが25年性能保証)。落雷など保険適用ケースでは自己負担なし。単独購入なら1枚数万円+工事費。
- 接続ユニットやモニター機器不良:部品代1~3万円+工賃程度。
- 屋根一体型パネルの破損:一条の場合、パネルが屋根材を兼ねているため、破損時は防水処置と交換が必要。強化ガラス採用でめったに割れませんが、台風などで飛来物が当たったケースでは火災保険でカバー可能です。費用は数万円~(被害状況次第)。
トラブル時の対応: 太陽光発電に不具合が起きると、多くの場合はパワコンのエラー表示やモニターの警告で気づきます。エラーコードが出たら取扱説明書を確認し、致命的なものでなければ再起動して様子を見る方法もあります。ただし下手に触ると危険なため、基本は迅速にプロへ連絡です。保証期間内なら費用負担なく直せることも多いので、遠慮せず早めに相談しましょう。
また、長期保証を継続するには一条工務店所定の点検(10年毎など)を受ける必要がある場合があります。10年点検を怠ると住宅本体の保証が失効したりするので、太陽光に関してもできれば定期点検を受けて保証維持に努めてください。一条工務店の保証内容については次項で詳述します。
一条の太陽光の税金・確定申告

最後に、卒FIT後の太陽光発電に関わる税金・確定申告について押さえておきます。売電収入がある場合、所得税の申告が必要かどうか、どのように処理すべきかは気になるポイントです。特に10kW未満の住宅用太陽光では扱いが異なる場合もありますので確認しましょう。
卒FIT後の売電収入に関する税務処理や確定申告の必要性
雑所得としての売電収入: 個人宅の太陽光発電(10kW未満)で得られる売電収入は、税務上「雑所得」に区分されます。会社員の副収入や年金、懸賞金などと同じ扱いで、必要経費を差し引いた利益部分に対して所得税が課される形です。具体的には、「売電収入額 - 太陽光発電に要した経費(減価償却費やメンテ費用等)」が所得額となります。もっとも、多くの家庭では減価償却など細かい計算まではせず、売電収入の大きさで単純に申告要否を判断しているのが実情でしょう。
確定申告が必要なケース: 税法上、給与所得者(サラリーマン等)の場合、副業などによる雑所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。逆に言えば、年間20万円以下であれば確定申告は不要(年末調整のみでOK)という扱いです。住宅用太陽光の売電による所得が20万円を超えることは稀であるため、通常は申告不要とされています。FIT期間中でさえ利益ベースで20万円超は少なかったですし、卒FIT後は売電単価が下がるためなおさらでしょう。例えば年間売電収入が30万円でも、その中からパネルの減価償却費等を差し引けば利益は20万円以下に圧縮される可能性が高いです。
ただし他にも副収入がある場合などは合わせると確定申告が必要になるケースもあるので心配なようであれば税理士に聞いてみるのが安全だと思います。
以上、「一条工務店 太陽光 10年後」に関するトピックを網羅して解説しました。卒FITを迎えて不安な点も多いかと思いますが、売電価格が下がっても太陽光発電は十分に価値があります。一条工務店のサポートや各種新サービスを活用しつつ、自家消費重視の賢いエネルギー運用に切り替えてみてください。適切なメンテナンスを行えばパネルはまだまだ発電し続け、蓄電池やV2Hで更なる節約も可能です。税務面も含めてしっかり対応し、これからの10年、20年も太陽光発電ライフを快適かつお得に楽しみましょう。
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